アメリカ監獄日記」読了。


アメリカの拘置所に入れられてしまった人のノンフィクション。
事実関係の経緯はこんな感じ。(大筋の内容になっているのに注意)
・仕事の都合でロスアンゼルスで働くことになったコンピュータ技術者。
・婚約した彼女が日本から来て、一緒に生活。
・3ヶ月という期限で日本に一時帰国してくれと会社から言われた。彼女は勉強中ということもあり、現地に残った。
・その間に彼女が浮気していることが発覚。
・11月8日。彼女のアパートに行き、一回だけ平手打ち。彼女に買い与えたものを破壊。(本人談)
・11月13日、レイプの罪状で逮捕。
・警察では公選弁護士に証言する、と言ったため証言をする機会無し。
・公選弁護士での証言でも、自分が証言する機会はほとんど与えられず、ほとんど女性側の証言を取り入れた事実とは反する内容が証拠として提出される。
・公選弁護士はまったく役に立たず、3回も人が変わった。私選弁護士も見つかったが、報酬は前金で15000ドル。他に頼るあてがないので雇う。
・裁判での求刑は16年の禁固刑。しかし、裁判を重ねるにつれ、彼女の証言や態度に問題があり、最終的にはドメスティックバイオレンスで1年間の拘置所拘留という司法取引の提案。3月11日。
・無罪の証拠は多いが、陪審員裁判で無罪になったケースはこれまでない。そこで負けたら禁固16年。
・5月27日。釈放。


なんというか世の中は悪意と不条理が多いという、悲しい内容だった。公選弁護士は公務員であるため、ほとんど仕事をやる気がないというのもひどい話だ。


そもそも監獄は全て個室にして、人とのコミュニケーションを絶つ、というのはどうなんだろうか。塀の中は現実社会よりももっと力関係を誇示しなければ生きていけない世界。そこで生きていこうとすると、よけい悪に染まるケースも多いはずで、それは更生とは程遠いと思う。それよりコミュニケーションを絶って、静かに自分を振り返る方が更生に近いんじゃないか。


アメリカ監獄日記―無実の囚われ人の大冒険
アメリカ監獄日記―無実の囚われ人の大冒険