紫色のクオリア」読了。


表題のとおり、人間がロボットに見える(つまりクオリアが常人とは異なる)紫色の目をした少女が主題と思いきや、主人公はその少女を観察する役、さらにその話自体も前フリで、その続きの方が本編だった。
続編ではあるとき並行世界の自分から電話がかかってくる。電話がかかってくる/電話をかけると、並行世界の自分と今の自分が重ねあって経験や記憶が同期化されるようだ。そして並行世界は今の世界とはまた異なった展開をもっているわけで、その能力を持って、紫色の目をした少女が死なない世界を目指すため、主人公は無数の可能性を生きていくことになる。


まどかマギカが話題に上がったころ、同じように友人を救うループ話ということで、この小説も話題になったらしい。うん、こういう並行世界モノは好きだなあ。
フェルマーの原理万物理論といった科学的なトピックについて知ることができるのもうれしい。それらに絡めて話のスケールがどんどん大きくなっていくのもすごいなあ。風呂敷の広げっぷりは「タイム・シップ」もすごかったけど、こちらも負けていないと思う。


紫色のクオリア (電撃文庫)
紫色のクオリア (電撃文庫)


タイム・シップ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
タイム・シップ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)