2009-22

本日の返却は2冊。
「誰が戦争を起こすのか?」読了。この研究は私も非常に興味があるところなので、この本は手元においておきたい。


以下私が解釈してまとめなおしたもの。カッコ内は戦争を始めた国。
1.満州事変(日):慢性的な経済不振の打開策として、満州の属国化を必要と考える(一部の?)人が増えたため。
2.第一次上海事変(日):満州国成立に関する国際社会の批判が高まりから、国民の目をそらすため。
3.太平洋戦争(日):日中戦争の泥沼化。満州国による国際的孤立。国内経済不況。米国による経済封鎖等。
4.エチオピア戦争(伊):第一次世界大戦でイタリアは勝者の側であったが、植民地を得ることができなかったため。
5.ソ連-フィンランド戦争(ソ):ソ連国民の不満を外に向けるため。
6.ミュンヘン会議(独):イギリスが弱気で、隣国の併合が容易であると考えたため。
7.第二次世界大戦(独):軍事力による拡大主義が表面化したため。
8.中東戦争(それぞれ):イギリスの外交政策の失敗で、当事国に対して矛盾した約束をしてしまったため。
9.スエズ動乱(英):エジプトの社会主義化を懸念したため。
10.チベット領有(中):不明。
11.朝鮮戦争(北朝鮮):韓国をアメリカから解放し、祖国を統一するため。
12.ハンガリー動乱(ソ):ソ連からの脱退は許容できなかったため。
13.ベトナム戦争(北ベトナム):南ベトナムを解放し、祖国を統一するため。
14.アフガニスタン戦争(ソ):イスラム教国であるアフガニスタン社会主義に変え、属国とする。またアメリカと関係を深めつつあるパキスタンへの牽制。
15.フォークランド紛争(アルゼンチン):国内の経済不振、政情不安から国民の目をそらす。また地理的・歴史的に同島はアルゼンチンの領土とすべきという考えがあったため。
16.ソマリア紛争(内戦):民族紛争。(米/PKF):平和の回復のため。
17.ユーゴ紛争(内戦):民族紛争。
18.イラン・イラク戦争(イラク):ペルシャ湾への出口を確保するため。宗教対立。
19.グレナダ紛争(米):アメリカの国防という観点から、キューバカストロによるグレナダへの軍事支援に対抗するため。
20.パナマ紛争(米):麻薬組織に密着している国指導者を排除するため。
21.シエラレオネ内戦(内戦):ダイアモンド・ボーキサイト・チタン等の利権争い。


大きく分けて、以下のように分けられると思う。
a.国民の不満を外にそらすため
b.軍事的優位から、目的達成が容易と判断された場合
c.国際社会における示威
d.祖国統一
e.民族紛争


a.については、戦争をすることで人々はごまかされるようなことは、近年無くなってきている、と信じたい。
e.についても、人類が地球外に住むようになり、嫌な相手と顔を会わせなくてすむようになれば解決しないのだろうか。でも資源の利害関係や、社会的地位を求める人の性分から、それでも争いは起きるのだろうか。
ちなみに著者は過去の事件に対する歴史の慣性が原因の一つと論じている(たとえば16世紀の植民地主義に源を生ずなど)。また力を持った者はそれを行使したくなる、人類の種としての素質の問題であるとも。